こんにちは、ドーピング0会代表の吉田哲朗です。
今回は、未来のスポーツ医療を担う学生の皆さんと向き合う機会をいただいた、2つの講義についてご報告させていただきます。
実はこの機会をいただいた背景には、私自身が所属している「臨床スポーツ医学会 ヤングメンバーズミーティング(YMM)」のご縁がありました。
YMMは、“若手による若手のための企画”をコンセプトに、職種を超えたディスカッションや交流を通じて、スポーツ医療の未来を共につくる場です。私が初めて臨床スポーツ医学会に参加した際、このYMMに触れ、異なる専門性が交わるエネルギーと、真剣に未来を考える若手の姿に強く感動し、それ以来この活動に携わらせていただいています。
そして今回、このYMMを通じて、新たな2つの出会いと学びの場が生まれました。
出会い①:新潟医療福祉大学 AT養成課程の学生さんたちへ
1つ目は、新潟医療福祉大学にて、アスレティックトレーナーを目指す学生の皆さんへの講義の機会でした。
参加者の多くは、すでに学生トレーナーとして部活動や競技現場に関わっており、「学生」といってもまさに“現場で動いている当事者”ばかり。講義内容も、そうした現実的な背景を踏まえた実践的なものとなりました。
特に印象に残っているのは、「サプリメントのリスク管理」や「自分たちはどこまで介入できるのか」といった、まさに現場で起きているリアルな悩みに対してディスカッションを行った時間。講義の中でも最も熱を帯びたパートであり、まさに彼らが“当事者として”アンチ・ドーピングと向き合おうとしている姿勢を感じることができました。
アスレティックトレーナーは、アスリートにとって最も近い相談相手です。体のこと、練習のこと、そして薬やサプリメントのことも含め、まず最初に相談が集まる立場にある彼らが、アンチ・ドーピングの考え方を学び、自ら実践しようとしてくれていることに、私は大きな希望と頼もしさを感じました。
出会い②:プライマリ研究会スポーツ医学部門の医学生たちへ
もう1つの出会いは、関東圏の医学生たちが主体となって運営する「プライマリ研究会スポーツ医学部門」の皆さんとの時間でした。
こちらは、将来スポーツ医学に関わることを志す医学生の方々が中心で、医師として競技現場や地域のスポーツ支援に携わる意欲を持ったメンバーばかり。講義では、スポーツファーマシストの役割やアンチ・ドーピングにおける医療職との連携についてお話しさせていただきました。
印象的だったのは、講義後に寄せられた感想のひとつです。
「これまではアンチ・ドーピングは“使用できない物質が多くて厳しいもの”としか思っていませんでした。
でも、公平・公正を重視するスポーツの価値を守るもの、
そして何よりも選手の健康を守るために必要なものだという意識を持つことができました。」
「分野の掛け算で自分に希少価値を付けるという考え方、
サプリメント相談の重要性、
学生の自分でも使える2つのツール(Global DROとサプリメントのデータベース)、
どれも視野を広げる内容ばかりでした。
これからは積極的にアンチ・ドーピングについて勉強していきたいです。」
医学生の立場から、こうして具体的に“何ができるのか”を見出してもらえたことに、私自身もとても勇気づけられました。
アンチ・ドーピングは、心と知識の掛け算
どちらの講義でもお伝えしたのは、アンチ・ドーピングは単にルールを学ぶこと「だけ」ではない、ということです。
- 「ドーピングを防ぎたい」という想い、マインドセット
- 薬やサプリメントのリスクを管理する知識
- ルールや制度の正しい理解
これらが掛け合わさって、初めて“本当のアンチ・ドーピング”になると私は考えています。
それぞれの職種が、それぞれの立場でできることを少しずつ積み重ねていくことが、結果的に競技者を支え、守ることに繋がっていく——その想いが少しでも届いていたら嬉しいです。
他職種と“横につながる”ことが、アンチ・ドーピングにつながる
競技者を支えるのは、決して一つの職種ではありません。
医師、トレーナー、薬剤師、栄養士、看護師…。それぞれの専門性がつながることこそ、アスリートを本当の意味で守る力になります。
だからこそ私は、他職種の学生さんたちに自分たちの役割を伝える機会を大切にしています。
「薬の専門家」である私たち薬剤師、そしてスポーツファーマシストがどんな場面で力になれるのか。
それを知ってもらうことが、結果的にアンチ・ドーピングの輪を広げることに繋がると信じています。
今回の出会いをくださったYMMの皆さんに、改めて感謝申し上げます。
そして、これからもドーピング0会は「アンチ・ドーピングにスポットライトを。」という想いを胸に、多職種と手を取り合いながら活動を続けてまいります。