こんにちは。一般社団法人ドーピング0会・代表理事の吉田哲朗です。
2024年4月8日、私たちドーピング0会にとって、非常に貴重な対談イベントを開催することができました。
日本体育大学の教授であり、ボディビル界のインフルエンサーとしても広く知られる岡田隆先生。
“バズーカ岡田”の愛称でも知られる、まさに現代のスポーツとフィットネスをつなぐキーパーソンです。
この対談は、岡田先生がドーピング0会の公式X(旧Twitter)をフォローしてくださっていたことから始まりました。
まさかSNSのつながりが、こうしてリアルな学びの機会につながるとは。
まさに現代らしい展開ですね。
対談テーマは5つ。スポーツ、教育、そして未来へ
今回の対談では、以下の5つのテーマについて、約1時間半にわたってじっくりと語り合いました。
- ドーピングはなぜいけないのか?(近年の事例を踏まえて)
- 最近のボディビル業界について思うこと
- ボディビル業界とドーピングの課題
- ボディビルはスポーツか、エンターテインメントか?
- ボディビルをクリーンに。オリンピック種目にするためには?
それぞれのトピックで、岡田先生の多角的な視点、経験、そしてユーモアが光り、参加者の皆さんもメモを取りながら真剣に耳を傾けていました。
ドーピングのリアルを知るために――ボディビル業界の現状
岡田先生は現在、JOC(日本オリンピック委員会)科学サポート部門員や、日本ボディビル・フィットネス連盟ジュニア委員長などを務められており、現場とアカデミックの両軸で活動されています。
そのうえで、今回最も印象深かったのが、「ボディビル業界におけるドーピング問題の複雑さ」についてのお話でした。
ボディビルは競技の特性上、身体の見た目やサイズが勝敗に直結します。
そのため、“使用の誘惑”が極めて高いジャンルであると同時に、検査制度の整備や競技団体間の統一性の欠如といった課題もあり、ドーピングとの距離が非常に近い世界でもあります。
岡田先生は、こうした業界の実情を冷静に捉えつつ、未来への可能性も語ってくださいました。
「ボディビルが“クリーン”であることを大切にしている人たちがいる。だからこそ、教育や対話、検査制度の整備を通じて、競技の信頼性を高めていきたい」
ボディビルはスポーツか、エンタメか?
「ボディビルはスポーツか、それともエンターテインメントか?」という問いも、非常に興味深い議論になりました。
岡田先生は、「身体を極限までコントロールするという点では、スポーツ的な要素がある」と語る一方で、観客を魅了するステージパフォーマンスの側面があるため、「競技であると同時に、ショーでもある」というユニークな立ち位置を指摘されていました。
この“あいまいさ”が、ドーピング問題の複雑さとも重なる構造になっており、そこにどう倫理的な基準を設け、ルールを浸透させるかが、今後の課題でもあるという視点には、会員の皆さんからも深い共感の声が上がっていました。
目指すは「オリンピック種目」そのためにできること
対談の終盤では、「ボディビルが将来的にオリンピック種目になるには?」というテーマも掘り下げました。
岡田先生は、「クリーンであることは絶対条件。そのためにも、業界内での“アンチ・ドーピング文化”の浸透が不可欠」と明言。
0会としても、こうした競技団体との連携や、教育機関・専門職と一緒になって、「支える知識」こそが信頼をつくるというメッセージを発信していきたいと感じました。
対談を終えて――対話が未来をつくる
今回の対談は、ドーピング問題というセンシティブな話題を扱いながらも、非常にオープンで建設的な場となりました。
そして何よりも、「業界のトップランナーと、同じ目線で語り合える時間が持てたこと」が、参加者にとって大きな刺激となったはずです。
SNSという偶然の出会いから始まった今回のご縁でしたが、これもまた“対話の力”のひとつだと感じています。
岡田先生、このたびは本当に貴重な機会をありがとうございました。
そして今後も、スポーツをよりクリーンに、安全に、そして魅力的にするために、共に声を上げ、考え続けていければと思います。
【YouTubeでもご覧いただけます】
この対談前に、私、吉田と岡田先生のYouTubeチャンネルにもアーカイブとして公開されています。当日の内容はないのですが、ぜひこちらからご覧ください。